聖ホセマリアの生涯-9

1928年10月2日、ホセマリア・エスクリバーは神の特別な霊感を受けます。

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聖ホセマリアの名字「エスクリバー」は書記を意味します。その名の通り、聖ホセマリアは書くことに熱心で、神の呼びかけを感じてからは多くのメモを残していました。それを読むと、現代社会の中でキリスト信者が無力になっていると心配していたようです。信者の中には教会の外、つまり社会の中では「あたかも何も信じていないかのような」生活をする人が増えていました。このままでは信仰は個人の生活の中だけのことになり、社会によい影響を与えることはできません。この現状は師を苦しめ、何ができるかと考えていました。

スペインでは学校は7月から9月末まで夏休みです。ホセマリア神父は夏も病人訪問などの仕事を続け、同時に大学の試験の準備もしました。お金も時間もない身には予定通りに試験を受けていくことは簡単ではありませんでしたが、それでも1928年9月に二科目に合格しています。その後やっと2週間の休みを取ることができ、この期間を利用して司祭には義務であった一週間の黙想会に参加することにしました。

黙想会は9月30日に始まりました。ホセマリアは結構な量のノートとメモを持ち込みました。10月2日の朝、講話と講話の間の自由時間にそのメモを整理していたときのことです。突然特別の恩恵に包まれました。そして、ほぼ10年のあいだ「見えますように」と祈ってきたことが見えたのです。しかし、神父はこのとき何が起こったかについて多くを語らず、ただ「オプス・デイの本質を見た」と言っていました。確かなことは、ほんの数秒の間に神父が「すべての人が聖人になるように招かれており、世間で生活する信徒は各自の職務を神と一致して果たすことによってキリスト教的な完徳に達成できる」ことを理解したということです。感動のあまり神父はその場で跪いて神に感謝の祈りを捧げました。

この新しい教えを人々に伝えるのが神の望みなら、今までの通りその使命のために自分のすべてを捧げる覚悟でした。しかし、それでは自分は何をすれば良いのでしょうか。それについては何も示されていませんでした。再び「見えますように」と神に祈り続けることになったのです。