聖ホセマリアの生涯-18

1931年に成立した共和政府の露骨な反教会政策に不満を持つ王党派の軍人や学生は、1932年夏に政府転覆を謀りました。しかしこの計画は事前に察知され関係者は逮捕されます。その中に聖ホセマリアの指導を受けていた学生も数人いました。

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聖ホセマリアの高校の同級生にイシドロ・ソルサノという人がいました。高校卒業後二人は遠くに離れましたが、友情は途切れませんでした。イシドロは国鉄に就職しスペイン南部で働き始めたころ、神の呼びかけを感じるようになりました。そこでマドリードに行ってホセマリアに相談しました。神父は彼に仕事をしながら自分を神に捧げる道があることを教え、イシドロはオプス・デイのメンバーになります。1930年8月のことです。彼は後に神父の頼りになる助け手となります。

1931年に成立した共和政府の露骨な反教会政策に不満を持つ王党派の軍人や学生は、1932年夏に政府転覆を謀りました。しかしこの計画は事前に察知され関係者は逮捕されます。その中に聖ホセマリアの指導を受けていた学生も数人いました。「神父は、そういう訪問をするのはたいへん危険であったのに、頻繁に監獄に来てくれました」と一人が証言しています。差し入れを渡し、信仰を保ち続けるよう励まし、また時間を活用するために読書や語学の勉強をすることを勧めました。

あるとき同じ監獄に無政府主義者(政府にも教会にも暴力的な攻撃をする人たち)が入れられてきました。信者の学生はこの教会を迫害する人たちとどう対応すればいいのかと神父に尋ねます。

神父は愛の心で付き合うように勧め、「考えてやりなさい。あの人たちはおそらくあなたたちのような信者の親がいなかったのでしょう。・・あなたたちや私だって、もしあの人たちと同じ環境で生まれ育っていたら、どうなっていたかわかりませんよ」と諭し、監獄内でのスポーツの時間には、「彼らとチームを組み混ざり合って試合をしたら」と提案しました。カトリックの学生たちはこの助言を実行してみました。一人はゴールキーパーをしたのですが、二人の無政府主義者のデフェンスを後から見て「あんなに優雅にサッカーをしたことはない」と回顧しています。こうして何人か友達になり釈放された後も友情を持ち続けたそうです。

神父は明らかに過労状態で、心身共に疲れ果てていきました。そこで巧妙な誘惑がやってきました。