聖ホセマリアの生涯-17

ホセマリア・エスクリバーは神から託された使命の実現のために協力者を探します。

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神が聖ホセマリアに与えた使命を果たすには、協力者が必要でした。しかし、片手間の協力ではなく、使命遂行のために人生のすべてを捧げる人、つまりオプス・デイのメンバーとなるよう神の召し出しを受けた人が必要でした。

聖ホセマリアの周りには霊的な助言を求めて大学生、労働者、中小企業の経営者、芸術家などの様々な身分の人が来ていました。神父は彼らの中にその召し出しを探し、これはと思う人に声をかけると、すぐに応じる人たちがでてきました。しかし、そのほとんどは「ウナギが指からするりと逃げてしまうように」まもなく去って行ったのです。

ただ、聖ホセマリアの期待にしっかり応えた人もいました。一人は前回登場した王立病院のホセ・マリア・ソモアノ神父です。神父は自分が世話をする病人たちに聖ホセマリアの意向のために苦しみを捧げるように頼み、またオプス・デイの召し出しを探しました。しかしカトリック教会を憎む人に毒を盛られて、1932年7月亡くなりました。

またあの寛大な心をもった裕福な若者ルイス・ゴルドンも入会しました。創立者は人間的資質、高い社会的地位などを備えた彼がオプス・デイ発展のために大いに寄与すると期待していました。しかし、彼も1932年11月、突如病死したのです。

さらに結核で王立病院に入院していたマリア・イグナシアという女性がいました。彼女はソモアノ神父から聖ホセマリアを紹介され、オプス・デイのため病気の苦しみをその意向のために捧げ続け、1933年9月になくなりました。聖ホセマリアは「彼女を失ったのではなく獲得した」と、彼女が神のみもとから助けてくれることを確信していました。

マリアはソモアノ神父の諸徳について短いノートを残しました。そこにこんな逸話があります。ある女性患者が最後の手段として喉を麻酔なしで切開する手術をすることになった。メスが患部に触れたとき、激痛の中で彼女は「神様、ソモアノ神父様の意向のために」と繰り返していた。患者たちは苦しい手術の際にはいつもその意向を思い出していた、と。

神は聖ホセマリアから最良の協力者を取り去られました。それは「この事業のためには人間的な手段に頼らず、ただ神の摂理にだけ信頼する」ことを教えるためだったと聖ホセマリアは理解しました。