聖ホセマリアの生涯-10

神の霊感を受けたホセマリア・エスクリバーは具体的な使命遂行の方法を模索します。

仕事の聖化

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1928年10月2日、聖ホセマリアは神が自分に何をお望みなのかがはっきりわかりました。あらゆる人が聖人になるよう招かれているというメッセージを人々に知らせるということです。しかし、どうやってその使命を実現するのかについては何も教えられませんでした。それどころか、10月2日以降、それまで頻繁にあった神の特別の霊感がぴたっと止んでしまったのです。

とりあえず始めたことは、大勢の人に祈りを頼むことでした。そして、理解してくれそうな知り合いの人々や司祭に少しずつこの使命について話をしていきました。しかし、聞いた人たちは、それは夢物語ではないかと感じ、聖ホセマリアの思いを理解できた人はほとんどありませんでした。

同時に、神父はこの使命を遂行するのに抵抗を感じたと言っています。それは小さいときからの「目立つことを嫌う」性格のためでした。「創立者になる」ことは、どうしようもなく嫌だったのです。それでこう考えたのです。「すでにすべての人に聖性の道を教える組織が存在しているのではないか、それを見つけてその組織に入って働こう」と。そこで海外で最近生まれた教会の組織や運動についての情報を集め始めました。

その結果、自分の目指す組織と似ている会があることを知りました。しかし後にその会には女性会員もいることがわかりました。それで聖ホセマリアは「これも違う」と判断しました。当時、聖ホセマリアはオプス・デイには女性はいないと思い込んでいたのです。

これらのことは興味深い事実を教えてくれます。まず、1928年10月2日に聖ホセマリアが「見た」オプス・デイは、その中心部分だけであって、細かい輪郭は隠れていたということ。また、オプス・デイは創立者が自分の好みや考えに従って作り上げたものではなく、神が彼に示したものであるということです。神父は「ちょうどお父さんの『これをあそこに、次はそれをそちらに置きなさい』という指示に従って積木を積み上げていくといつの間にか積木の城ができあがるのを見る子どもように」神の指示に従っただけだということです。しかし、もちろん、神父は手をこまねいて神の啓示をぼやっと待っていたのでは全くありませんでした。