「教育こそ貧困に立ち向かう最大の武器」

ペルーのカニェテ地域支援に携わるイサベル・ガメロスさんが、スペインの雑誌「Mundo Cristiano」2004年1月号の取材に応え、自らの経験を証言した。「私は夫と2歳から22歳までの13人の子供と一緒に暮らしています。夫のホセ・チャルンは、左官職の手伝いをしています。」

まず、カニェテについて少し話したいと思います。貧困にあえぎ、必要最低限のものすら持たない人々が、人口の7割を超えます。農業に従事する婦人たちは我慢強く、その多くは読み書きができません。

毎日、午前中は家事だけでなく、家政婦として料理や掃除をこなします。午後は、子供たちと明日の仕事の段取りをします。子供一人一人が家の仕事を分担しています。とても夫婦だけでは家の仕事をやりくりできませんからね。

聖ホセマリアとの出会い

「コンドライ」女性支援センターで見たドキュメント映画を通して聖ホセマリアを知りました。私が19歳の時です。センターに通い始めて、聖ホセマリアが教えていた「仕事を聖化すること」を聞きました。しばらくすると、神について、聖母マリアについて話してくれました。さらに、毎日曜日ごミサに行くことの大切さを習いました。私はカトリック信者で、度々ミサに参加していましたが、いつもではありませんでした。

人々を支援すること、自分自身を与えること。そして、家庭内を常にきちんと整理整頓しておくことを習いました。この聖人は「清貧と不潔は同じことではない」と教えていました。家は床がなく地面で、かまども土を練って作ったものです。これをきれいにする決心を立てました。毎日、土間を掃いて、水を撒きます。そうすると埃が舞い上がらず、清潔です。あの映画で聞いた「主婦の仕事は、聖母マリアが為さった仕事と同じです」という言葉が心に残りました。それ以来、自分もマリア様と同じようにしようと努力しています。

また、夫に対しても優しい態度で接し、家でもきちんとした身なりでいるように励まされました。使っていない物があれば、執着しないで、本当に必要な人に譲ることも教わりました。

貧困に立ち向かう

カニェテは経済援助を必要としています。ある日、私は子供たちに言いました。「今日は食事を抜きましょう。食べるものが何もないから・・・」。一人の息子がそれを友達に話して、知れてしまいました。早速、その母親が2キロのお米を差し入れてくれました。大変に驚きました。そして、感謝しました。聖ホセマリアの教えのおかげで、私たちの間に連帯の精神が育っていきました。たとえば、病人を抱えながら治療を受けさせるお金がない家庭があれば、村中を歩いて回ってカンパを募って助けています。また、不要になった服があれば、洗濯して、修繕して、必要な人に差し入れています。

家庭、家族を大切にすること。また、子供は重荷ではなく、神の祝福であり、私と共にいてくださるという神の信頼の表れだと学びました。私は、神の信頼に応えたいと思います。だから、けっして人工的な避妊行為をしません。13人の子供を授かることは、けっして易しいことではないでしょう。

最初に述べたように、私は地域支援に携わるメンバーです。各自が抱える問題を解決することを支援します。地域の女性、一人一人と話します。勤勉であるように、仕事を大切にするように、寛大になるように、困難があっても喜びを失わないように励まします。また、手仕事を身に付けるように、裁縫、料理などの技術指導もしています。霊的なことを軽視しないように、あわせて精神面のクラスも実施しています。

最初から、貧困に立ち向かう最大の武器は教育だと学びました。私の村では、実際、そのように進んでいます。「コンドレイ」支援センターで学んだ人々が、今度は人々に教えるようになってきました。こうして、志を伝えていくのです。

聖ホセマリアが、「社会のあらゆる活動の頂点にキリストを置かなければならない」と言うのを聞いて、まさか自分の活動にもキリストを置くとは想像もしませんでした。しかし、キリストは私たちの生活の主であり、家庭の主、村の主、そして私たちの存在自体の主です。キリストはすべてを治める王なのです。