聖ホセマリアの生涯-53

1944年6月25日、最初のオプス・デイの司祭が3人誕生します。

過去の記事はこちらから

教皇庁から司祭団の許可をえる前から、3人のメンバー(アルバロ、ホセ・マリア・ガルシア・エルナンデス、ホセ・ルイス・ムスキス)が司祭の叙階の準備を始めていました。様々な準備も順調に進み、4月には叙階式の日時が6月25日に決まりました。式の前日、聖ホセマリアは両親とイシドロが眠っている墓地に行き、感謝を捧げ、新司祭たちのために取り次ぎを頼みました。

25日、叙階式はレオポルド大司教の司式、マドリード司教館の聖堂で行われました。聖堂に入りきれないほどの大勢の人がかけつけましたが、創立者は式と同じ時間にオプス・デイの本部のセンターのお御堂でミサを立てていました。

式が終わり、大勢の参列者との挨拶がすむと、大司教様はセンターに移動し、三人の新司祭と数人の招待客とともに昼食をとりました。食後、創立者はスペインの各地から駆けつけた若いメンバーを一人ひとり司教様に紹介し、その後広いサロンで団らんの一時を持ちました。(写真。左から、ガルシア神父、レオポルド大司教、福者アルバロ、ムスキス神父)

センターはお祝いの電話や訪問客でごった返していました。その応対のため聖ホセマリアがサロンを離れたとき、大司教は若いメンバーたちにパドレ(創立者)を大切にするように頼み、こう言われました。「パドレはとても疲れているようだ。その証拠に今日の叙階式に参加する勇気がなかった。感動で涙を流すのを見られるのをいやだと思ったのかな。あるいは、あまりにも楽しい時間を過ごすのを慎もうという犠牲を捧げようとしたのかも知れない」

司教様も帰られメンバーだけになって、聖ホセマリアは若いメンバーたちにこう言いました。「何十年もたって、みんながおじいさんになり私はこの世を去ってしまった後、オプス・デイに来る若い人たちから『最初の3人が叙階されたとき、パドレは何を言っていましたか』と尋ねられたら、こう答えて欲しい。―パドレはいつものことを言っていました。「祈り、祈り、祈り。償い、償い、償い。仕事、仕事、仕事」と」

新司祭たちには山のような仕事が待っていました。

尾崎明夫